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「作品全体に漂う軽やかさだと思います。『重力ピエロ』も、重いメッセージがたくさん盛り込まれているのに、読み終わるとフッと浮いた感じになる。しかも、その軽やかさによって不思議と物語や登場人物に共感できるんです。僕が好きなのは、その軽やかさですね」
「僕がもともと描きたいと思っているのは、人々の暮らしなんです。暮らしというのは決して楽しいことばかりでなく、悲しいこともある。その光と闇を両方持ち合わせたものを映画にしたいと考えていたので、原作には共感する部分が多かったんですね。光も闇もなければ、人間は前に進めないという思いが、僕も強いので。ただ、映像化する上で気を配ったのは、伊坂さんのテイストをどれだけ損なわずに作るかということです。特に会話の部分。伊坂さんの作品の魅力として、会話の妙があると思うんですが、実際に俳優が喋ると軽妙過ぎたり長過ぎたりで、なかなか耳に入ってこないところもあるんです。だから、どこまでリアリティを追求するのか、常に考えていたと思います。最終的には、この物語の魅力は地面から少し浮いたところにあるんだと原点に立ち返り、あらためて理解して作っていったんですね」
「映像的であるかどうかということを、何よりも考えました。例えば、ずっと病院に寝ているお父さんがいいのか、海辺のきれいな家にいるお父さんがいいのか。あるいは、会社員でスーツを着ている泉水がいいのか、普段着の泉水がいいのか。それは、どちらがより映像的かということで決めていったんです。今作品において僕の仕事というのは、物語をおもしろくすることよりも、脚本に書かれたことをどう映像化するかだと思っているので、そこに全力を注ごうと思いましたね」
「そうですね。小説家でもなく、ミュージシャンでもない、映画監督としての自分に一番求められていることは、やはりどのような映像を作るかですから」
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